第5回立命館大学嗜好品研究会のご報告 | 立命館大学食総合研究センター
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第5回立命館大学嗜好品研究会のご報告

§  第5回立命館大学嗜好品研究会(2020.1.25)のご報告 §

1月25日(土)、立命館大学大阪いばらきキャンパスにて、第5回立命館大学嗜好品研究会

「嗜好品の魔力-ヒトはなぜそれを求めるのか?」を開催いたしました。

まずはじめに「アディクションサイエンスの未来と心理学の果たす役割」と題して

本学総合心理学部の横光健吾氏にご講演いただきました。

横光先生1    横光先生2

嗜好と嗜癖、それと依存症との境目は何かをまずご説明くださいました。

横光先生ご自身が調査した結果や実験結果をもとにわかったことを心理学の観点から

説明され、データで実証されているために説得力がありました。

「なるほどなぁ」というお話をいくつか。

ギャンブル依存症の人は無意識のうちにギャンブルのことを考えてしまっているそうです。

例えば、「スイカ」と聞いて連想するのは、一般的に健康な人は

「夏に食べるもの」「赤い実や黄色い実がある」等だと思うのですが、ギャンブル依存症の人は

「スロット」だそうです。また、誰かが「夏休みに海に行こうよ」「いいね、海!」と話しているのを

聞くと「パチンコ」を連想してしまうそうです。そう考えると、依存症というのは気持ちが偏ってもうそれしか

道がないと思い込んでしまう強迫観念が出ている状態なのかなと思いました。

そして「コーヒー摂取がシンクロ(共鳴)にもたらす影響」の実験結果から説明してくださったのが

「コーヒーを飲みながら話しても行動を同調しやすくなるわけではない」ということです。

「そうそう」「わかるよ」という同調をもたらすには、コーヒーの摂取は特に関係がないそうです。

イメージ的にはコーヒーでも飲んでゆっくり話すと打ち解けられやすいのかとも思っていたのですが

実験結果ではそうではないそうで、面白いなと思いました。

心理学の専門用語ではなく、わかりやすい言葉で話してくださり理解が深まりました。

 

続いて「人類文明史の中の嗜好品」と題して、武庫川女子大学名誉教授の髙田公理氏にご講演いただきました。

高田先生1    高田先生2

世界の歴史の中で嗜好品がどのように扱われてきたかについて、大変興味深いお話が続きました。

「大航海時代が開いた近代世界」のところでマゼランが世界一周した動機は「香辛料」だとのことです。

「直に手に入れて大儲けしよう」と考えて熱帯アジアの香辛料を求めたそうです。中でもコショウは同じ重さの銀と

同じ価値があるといわれていたそうなので、大変貴重だったことがうかがえます。

コーヒーについても面白いお話がありました。コーヒーにはカフェインが入っていて覚醒作用があるので

産業革命の時期、工場労働者がよく飲んでいたそうです。安くてシャキッとできるなら、うってつけですね。

また、日本でコーヒーを飲むようになってきた初期の頃は、砂糖なしのコーヒーなんて苦くて考えられなかったそうです。

その後、カロリーのことも考えて「やっぱりブラックがいいね」という流れも出てきたそうです。

聞いたことはあるけれど、どういった嗜好品かはいまいちよくわからなかった「カヴァ」「ビンロウ」「カート」について

摂取の仕方を伺うこともできました。世界には本当にさまざまな嗜好品がありますね。

 

その後、フリーディスカッションがおこなわれました。いくつも質問が出て、まだまだ意見交流したいムードで挙手される方も

次々といらっしゃいましたが、時間がきてしまい、盛況のうちに終了となりました。

 

お忙しい中、ご参加いただきました皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

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